2019年3月22日金曜日

ソメイヨシノに心を奪われる

 この時期、サクラがいつ開花するか、満開はいつか、という話題でもちっきりですが、こころ静かにみわたせば、いろいろな花が咲いていますねえ。もくれん、こぶし、クリスマスローズ、ほかにソメイヨシノではないサクラ。ソメイヨシノばかりに気を取られていると、周りの花々を見落としてしまいます。毎年、この時期は「花に心が奪われる」ことから、自らをかえりみています。

 鍼灸師の診察は、すべて自分の感覚で行いますから、意識が一つに集中すると、他方を見落とします。どれかに偏ると、どれかがおろそかになります。そうすると、たくさんの情報がえられませんし、得られた情報も歪んでみえているかもしれません。鍼灸師の診察が難しいのは、ここにあります。

 一月ほどまえ、便器にすわると、お尻の下がいたくて、おしっこもでなくなる、便秘にもなるという方が見えました。男性でしたので、前立腺と直腸の病気を疑い、病院で診察してもらうよう指示しました。1回目の治療は無効。なぜなら、疑いを持ったところで、そこに気を取られて、冷静に診察できていなかったのです。2回目の治療は、前立腺と直腸に病気は無いということだったので、冷静に診察をすることができました。その結果、臀部と大腿後側がとても冷えているのがわかりましたので、温まるまで灸頭鍼をしました。そうしたら、3回目からぐんぐん良くなってきました。1回目は、疑いを持ち、病気に気を取られていたので、とても冷えていたことに気が付きませんでした。感覚が鈍いのではないのです。意識が偏ると見落とすのです。

 毎年、サクラで盛り上がるこの時期、「偏見、頑固、視野が狭い、自己中心」にならないと自省するのでありました。

 


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