2018年3月30日金曜日

ザイフリボク

 写真は台所の窓からみた満開のザイフリボク(采振り木)です。バラ科で、少し早めに咲きました。わが家では、サクランボが先に咲き、つぎにザイフリボク、さらにモッコウバラ(木香薔薇)と、バラ科の花が続きます。

 写真は上から見たものですが、下から見たり、横からみたり、味わいが大分ちがいます。今回は「覗き」のアングルにしてみました。


 サクランボは、隣家との間にはさまれて、人知れず咲き、人知れず散っています。ザイフリボクは歩道に面していますので、一時ですが脚光を浴びています。しかし、散ることはどちらも同じで、1年のうち、98パーセント(の日数)は、静かにしています。いつまでも咲いていて欲しい所ですが、わずかの期間咲く所に、味わいがあるのでしょうね。


2018年3月26日月曜日

我独りくらきがごとし

『老子』30章に「俗人昭昭して、我独り昏(くら)きがごとし」、みんなは陽気で、ぼくだけが陰気だとあります。前後の文章も、周りのひとは楽しそうにワイワイしているが、老子だけが陰静な立場を取っているという表現がつづく。この文章を読むと、老子は陰気で偏屈な人という印象を持つが、そこは本意ではないだろうと、桜の花をみて考えました。

『老子』26章に「(君子は)栄観ありといえども、燕処して超然たり」とあります。森共之がいう。みごとなる見物有る時は、衆人は我れ先にとさわぎ立て、競い見れども、君子たる人は、それには目はくれず、衆人の上に超出し、重く静かにして安処(をちつきおる)、と。

どこどこの桜が見事だ、きれいだと、気を走らせ、心を奪われることなく、落ちついて、冷静でいるべきだ。この時期、この警句を思い出します。

 東洋医学の診察でも活かされます。主訴にふりまわされるな。特定の診察に拘るな。視野が狭くなって、見えるものも見えなくなるぞ。ありとあらゆる角度から落ちついて診察して、冷静に病像を明々白々にする。これが東洋医学の本質ではないでしょうか。

2018年3月25日日曜日

養心養生2

 心理的ストレスがあるかどうかのチェックポイント。
その1。みずおちを叩くと不快や痛いがあるかどうか。→経験上。
その2。胸骨の中央(だん中の周辺)を押すと痛いかどうか。→鍼灸医学的に。
その3。その2の裏側として背中がこっている、つまっているかどうか。→鍼灸医学的に。
その4。ほほが固い・痛いかどうか。→顎関節症の人。
その5。こめかみが固い・痛いかどうか。→顎関節症の人。頭痛の人。
その6。頭頂部の皮が固いかどうか。→脱毛症の人。

 専門家でないと判定しにくいのですが、その1とその2くらいは、分かりやすいです。もしいくつもの項目が該当するようですと、心の処方箋が必要かも知れません。

 ほおっておくとどうなるか。
その1。生活が乱れる。→生活習慣病になる。
その2。心がすりへる。→意欲低減。
その3。心と体がバラバラになる。→快食快便快眠ができなくなる。
その4。心の病気になり、体が動かなくなる。
 全体としては、直しにくくなります。へばりついているので、取りのぞくのが困難。軽くみて、あなどっていると、大変なことになります。初期からの心のケアがなにより重要。

 以上のようなことを考えると、養心養生の確立が急務であることは、自明。チェック1~6で、チェックできるのですから、心の問題は、鍼灸医学者の責務なのかも知れません。

養心養生

 今日の勉強会(灸法臨床研究会)は、養心養生をテーマに話してきました。個人的には、東洋医学の核心に、だいぶ迫ったと思っています。心とは何か、それを明らかにすることは、東洋医学の初階だろうと思います。今回は、それが一歩進んだという手応えです。

 身体を鍛える、サプリメントを飲む、特殊な呼吸法をするというのは、養形養生というもので、誰しもが興味を持つところで、数え上げれば数え切れない程の方法種類があります。それを追い求めていては、切りがありませんし、多岐亡羊、結局、何も得られない可能性も高いでしょう。

 養心養生は、一点「無心」を窮めることですから、目標が明確、方法も明瞭、始めようと思えば今すぐにでも始めることができます。一個一個クリアしていけば、それなりの成果もあがります。ジムに通うお金もいらないし、サプリメントを買うお金もいらないし、ほぼタダで、自分の工夫だけで、養心養生ができるのですから、養生普及という意味では、真っ先に着手したいテーマだと思っています。





2018年3月23日金曜日

4月30日

 4月30日(祝)に、日本内経医学会30周年記念事業として、昼に、『内経』に関する発表、夜に、島田隆司先生顕彰会を行います。

 昼には、中国から黄龍祥先生が発表し、日本から小曽戸洋先生が発表します。その他、二松學舍大学の町泉寿郎先生、明治医療大学の斉藤宗則先生、そして小生が発表します。参加費は無料です。『内経』には興味無いという人でも、先生方の顔を見るだけでも、声を聞くだけでも、参加してはどうでしょうか。友有り、遠方より来たる。旧友に会うかも知れませんよ。楽しそうではありませんか。

 島田隆司先生は、2000年に没しました。島田先生と交流が合った先生に、思い出話をしてもらおうと思っています。島田先生に会ったことが無い人が増えていますので、どのような人だったのか、どんな実績があるのか、そして何を目指していたのか。後進のみなさんに伝え遺しておきたいと思います。こちらは食事が付いているので有料です。どんなお話が聞けるのか、楽しみです。

 詳細は、日本内経医学会HPをごらんください。夜の部は、数に限りがありますので、参加希望の方は、お急ぎください。

2018年3月16日金曜日

精進料理

 今月末に、養生の講義があるので、今日は、食事養生を考えてました。

 その代表は精進料理です。仏教では殺生を禁じていますから、料理はおのずと野菜が主役の精進料理です。父方のおじいさんが亡くなった時、中学生でしたが、葬儀に参加し、食事が振る舞われました。近所のオガタ(奥さん)が集まって作る精進料理です。銘々のお膳に、食べたことのない料理が出てきたのを思い出しました。今から、50年前のことです。

 あんな田舎でも、きちんとした葬儀していたのは、今でも誇りに思います。それ以後は、たましいがずたずたになり、精進という概念も薄れ、律儀に葬儀をするという気持ちも無くなり、すべて葬儀屋さんのいうとおりに、しているのが現在です。

 いま、欧州で、ビーガンという菜食主義者が増えているようです。ドイツでは、2020年には、5人に1人くらいの割合になるそうです。単に肉食を忌避するのではなく、動物を愛護する倫理上の菜食主義のようです。菜食主義先進国だった日本が、菜食主義を捨てて、肉食主義に変わっている現在、先進国は菜食主義に移行しつつあるのです。なんだか恥ずかしくなりました。さらには、ロカボが流行って肉食が加速している、そんな自己都合が大手を振っていることが、とても恥ずかしいのです。

 また、アニマルウェルフェアといって、動物や家畜を愛護する政策もあるようです。たとえば、イタリアでは、鶏のケージ飼いは禁止されていて、すべて平飼いなのだそうです。家畜とはいえ、不健康な環境は、許さぬぞ。イギリスでは、健康的な環境で飼育するように、政策で指導しているようです。ひるがえって、日本を見てみると、とても後進国なのだなあと思います。

 そのおじいさんの孫(10歳くらい年上のいとこ)の結婚式も自宅で行っていたのを思い出しました。自宅で冠婚葬祭をするのは、つい50年前まで続いていました。古いやり方だと思っていましたが、いま考えると、先進的だったのかも知れません。

 この50年で失ったものはたくさんあるけれども、たましいまで失ったことがまことに遺憾。

 


 

2018年3月12日月曜日

蔵王連峰が見える

 郷里の、仙台からでも、塩竃からでも、県境の蔵王連峰が見えると教わって、よくよく見てみると、よくよく見えました。いままで、蔵王連峰が見えると思わなかったので、一度も見たことが無かったのです。見えないのではなく、見ていなかったのでした。

 このように、ちょっと教われば、何気なくできることは、たくさんあるんだろう。一度見えてしまえば、いつでも見ることができるのです。ちょっと教わる、それだけで充分なのです。何も、手取り足取り、ご丁寧に教えなくても。鍼灸の実技もそうなのかもしれません。

 それでも、蔵王連峰に興味がなければ、教わっても、見ないでしょうね。そんなくだりが、『論語』にある。述而篇「一隅を挙げるに、三隅を以て反(かえ)さざれば、則ち復(ふたた)びせず」(先生は、四隅のうち、一隅をあげて示して、三隅があると反応しなければ、くり返し示さなかった)といい、学ぶ側に受け入れる素地が無いときは、不毛の土地にタネを蒔くようなもので、なんともしようがない。

 学問は、受け入れる素地があれば、教え込み、素地が無ければ、興味を持たせる。蔵王連峰を見て、考えました。