2019年5月30日木曜日

艾灸通説・蕉窓雑話

 鶯谷の窪田特許ビル4階に、勉強会の場を構えたのが、平成23年11月。7年目の今年6月、多摩市に移転して活動を続けることになりました。

 開設当初には『医道の日本』に取り上げられ、着実に活動を積み重ねてきました。数多くの参加者も得て、個人的には、とても勉強した7年間でした。勉強会を開けば、予習しなければならないので、一層勉強したのでした。それでも、遅々として進まず、なかなか深化しないのであります。学成り難し。

 他の人は、古典を読むなんて、回り道、役に立ちそうにない、徒労と思って、近寄らず、より近道、役に立つようなことを選択しているかも知れませんが、63歳の実感としては、回り道、役に立ちそうにない、徒労の方が、とても有益で、人生的には充実しているのです。スポーツの選手にしろ、会社の経営にしろ、楽なもの、近道は、無いのですから、楽とか近道を考えた段階で失格なわけです。

 鍼灸を、安直なものにしてはいけないのです。

 というわけで、多摩教室で、6月2日、7月7日、10月6日、11月3日、12月1日と、後藤流灸法を表した『艾灸通説』と、和田東郭の『蕉窓雑話』を読みます。午後1時~5時。参加希望の方は、テキストの準備もありますので、メール連絡ください。
 miyakawakouya@gmail.com


2019年5月23日木曜日

袖上げ

「袖上げ」の画像検索結果
 今から50年前。中学に上がるとき、制服とワイシャツをそろえてもらったのだけど、3年間着れるようにと、1サイズ・2サイズ大きなものをあてがわれました。

 ワイシャツは、袖上げといって、上腕部を2センチ幅で折りたたんで縫込み、足りなくなったら縫い目をほどくと元の長さになります。ネットで検索すると、今でも、生活の工夫として行われているみたいで、ほほえましい限り。

 制服のズボンは、ダブルにしておいて、足りなかったらシングルにするのが標準。折り目は目立つのですが、みんなそうしていました。今は、さすがにないだろうと思っていたら、鶯谷駅の真向かいの不忍中学の生徒で、折しわが残ったシングルさんが何人かいました。不忍中学さんに、どんな理由があって、残っていたのだろうか。

 つわものがいて、ダブルのすその中に、袖上げのように縫い込んでいたのがいました。裾に2本の折しわがあるのが、ほほえましい。全部のばすと、ダブルからシングルで3センチ、袖上げ風が2センチ、合計5センチくらいになります。中学生は、背がぐんと伸びるので、生活の知恵なのですねえ。それが、今でも活きていると思って、ほんわかしています。

 なお、制服の上着には対策がなくて、だぼだぼで始まり、つんつるてんでおわりました。

2019年5月20日月曜日

池田知久『老子』その2

 現代語訳、読み下し、原文とあるのは、まあ標準装備なのだけど、各章に解説がついているのが、なかなか良いです。
 
 解説が充実しているのは、浅野裕一『孫子』(講談社文庫)で、将来的には、『内経』にもこのような解説充実の注釈書がほしいものである。

蜂谷邦夫『老子』(岩波文庫)は、語句の校勘と解説が充実していて、それも面白い。
 
 池田と蜂谷をくらべてみるのもおもしろい。
【第77章】
 蜂谷:天之道は日月星辰の運行など、自然の摂理のこと。
 池田:天の道が自然界の法則を指し、・・・というわけではない。

 先行する蜂谷を、池田が批判している箇所が他にもあって、なかなか面白い。それができるのは、古い『老子』が出土して、解釈の選択枝がふえて、より正しい解釈ができるようになったからである。

 『老子』でいえば、根本的なところ(道の哲学)の解釈次第で、原文の理解に相当に差がでるようです。医学的古典も根本を掘り下げないと、枝葉末節を追うばかりではいけないでしょう。

2019年5月11日土曜日

池田知久『老子』

 このたび、池田知久の『老子』に関連する、「全訳注」と「その思想を読み尽くす」の2書を買いました。前者は、231ページと大人しいものですが、後者は、861ページと挑戦的なものでした。

 後者の第二章「『老子』という書」を読むと、伝世文献の研究だけでなく、出土文献の研究が欠かせないと痛感。しかし、出土文献を読むには、伝世文献研究の積み重ねが必要なのはいうまでもない。

「経脈についての合理的な説明」といえば、『霊枢』経脈篇の研究が必須なのだけど、振り返ってみると、やはり限界がありました。それを破るのが、出土文献の馬王堆医書、張家山医書などですが、わが国では研究はほとんど進んでいないのが現状です。これでは、いつまでたっても「合理的な説明」には至らないでしょう。
 
 では、いますぐ出土文献に着手すればいいのかといえば、そうでもない。『霊枢』経脈篇の研究がおろそかになっていますし、『霊枢』全体と経脈篇の関係、『素問』と経脈篇の関係など、未探の宿題は多いのであります。道はとおし。
 
 

2019年5月1日水曜日

木香バラ2

前回の写真は遠目でしたので、今回は下から見上げるように撮ってみました。下からみると圧倒されます。

 木香バラの香りは微細なので、花を摘んでしっかり確認しました。覚えましたので、次回から大丈夫でしょう。

 師匠の島田先生は、丸山先生の往診についていき、玄関で、これが癌患者の匂いだ、と教わったといい、それ以降、匂いで癌であるかどうかわかるとおっしゃってました。ぼくは、そういう体験が無いので、その教えは途絶えてしまいました。

 誰しもがわかることは誰しもがわかることですが、そうでない微妙なものごとは、リードしてもらわないとわからないかもしれませんし、無心無欲でなければわからないかもしれません。