2019年8月27日火曜日

福岡市美術館

 8月26日は、福岡城址に行きました。地図で、近くに福岡市美術館があるらしいので、いざ、と向かいましたが、お約束通り月曜休館でした。

 平安から鎌倉にかけて描かれた『病草紙』の中の一枚「肥満の女」(重文)を所蔵している美術館です。この一枚は、電力王といわれた松永安左エ門の旧蔵で、かなりの高額で購入したらしいことを、かつて読んだことがあるので、覚えていました。残念ながら、実見かなわず。



 それでも、福岡城址は思いのほか立派で、天守台にのぼれば360度をみわたせ、人影まばらで、雨降りでしたが、よい散策ができました。

2019年8月22日木曜日

九州行脚

 今週は、久留米市、来週は、北九州市と、行脚してきます。
 久留米市では、東洋医学の死生観を発表してきます。これは、丹沢章八先生主宰の丹塾で発表したものが下地になっています。
 北九州市では、心と病―黄帝内経から、を発表してきます。これは医道の日本に連載しているものが材料になります。

 10月最終は、大阪で、養生を発表してきます。これは4月につづいて2回目です。

 この3回で、自分では、東洋医学の本来のすがたが明瞭にできるような気がします。
 脈診し、腹診して、鍼を刺し、お灸をするのが、本来の姿だと思っていません。そんな小さなものではなく、思想にうらづけされた、雄大な医学であると訴えてきたいなあ、と思っています。



 



2019年8月17日土曜日

味覚極楽

 野田岩を話題にしたので、子母澤寛『味覚極楽』をとりだして読みました。この当時は、天然ウナギのほかに養殖ウナギが出回っていて、養殖ウナギは「くさくてくえない」しろものだったらしい。今の養殖技術は高まっているから、そんなことはないでしょうが。くさいかどうかわかりませんが、天然うなぎは、油っぽいのは皮の部分だけで、身は白身感を残していて、焼いても、身にすこしばかりの締まりがありますが、養殖うなぎは、身にもあぶらがまわって(いわゆる霜降り)、火を通すとホロホロとくずれてしまいます。白焼きは、養殖は不向きで、天然にかぎるでしょう。

「菊五郎は狩猟をやる。鉄砲自慢だから、まず話をそんなところから持って行って、「猟に行かれてお弁当などをあがったら定めしうまいでしょうなあ」とやった。ところが菊五郎は、すぐ「あなた猟をやりますか」「いやあ、私は出来ません」といったら、「それじゃ、猟の弁当の話をしたってわからねえや」といったきりで、・・・」

 この段、割と好きです。いま、テレビだって、バーチャルだとかいうものだって、にせ現場がはばをきかしていますが、やっぱり現場が何よりです。ぼくの悩みは、お灸をしていない人に、お灸の話をすることなのです。この壁をどのように乗り越えるかが、悩みなのです。




 
 

おわん4題

 来週は、久留米で研究発表。東洋医学の死生観。唐津の草場さんが、九州国立博物館のパンフレットを送ってくれて、特別展「室町将軍」があるらしい。その中に、馬蝗絆の写真が。足利義政旧蔵。割れたので中国で修理してもらったら、割れたところをかすがいのようなもので補修してあり、その姿がイナゴににているので、馬蝗絆という銘がついたらしい。写真ではなんども見ているけど、実際にみるのは初めてなので、とてもたのしみ。

 今まで印象的だったのは、東京国立博物館の大井戸茶碗、静嘉堂文庫の天目茶碗、大阪陶磁博物館の天目茶碗。思い出すだけで、どきどきします。あと1腕、大徳寺孤蓬庵の喜左衛門井戸を、見たい。

 写真だと大きさ、重さ、実際の色調がわからないので、実際にみてみないと。ガラス越しだし、もてないから、「実際」とはいえないですが。

「馬蝗絆」の画像検索結果

 

2019年8月16日金曜日

うな部

 東京衛生学園の臨牀専攻科の10期生のときに、そば部、うな部などいう、課外授業を営んでいて、都内のそば店、うなぎ店を、部員と食べ歩いたものでした。

 うなぎの最高は、麻布の野田岩で、天然ウナギが入荷していれば、一つだけ注文して、ほかは養殖ウナギをたのみ、みんなで食べくらべしました。それ以降は天然ウナギに合うことも無いので、ウナギ熱はだいぶ冷めました。

 いま、うなぎの絶対量が少ないのに、売れ残りうなぎを相当に廃棄しているというニュースを聞いて、うなぎ業界の無策にあきれて、ウナギには近づかないようにしています。

 無策といえば、鍼灸業界も無策で、開業鍼灸師と養成学校の乖離は、目を覆うばかり。業学一体になるように、鍼灸師会の新しい会長に期待するのであります。

 それはそうと、9月1日は北九州、9月15日は大宮、学生が多く参加するという講演会に出てきます。業学一体をしたごころに。

2019年8月15日木曜日

今井ハリ灸治療院

 西日暮里駅のホームからみえる「中国ハリ、今井ハリ灸治療院」が閉鎖したらしく、看板はあるけど、室内は暗く、がらんどうになっていました。

 院長は今井絹子先生で、臨床歴はおそらく50年以上。面識は無いのですが、ずっと西日暮里のホームから見えていましたので、知人だったような気がしています。高齢による引退だったのではないでしょうか。

 あと10年もしない内に、鍼灸界の人物地図は、がらっと変わるのでしょう。貴重な人材がいなくなるとおもうと、一抹のさびしさが。新しい人材が生まれでると思うと、期待にむねがふくらみます。

 

2019年8月7日水曜日

東洋医学と日本鍼灸

 この日月は、日本内経医学会の合宿がありました。1年に一日、老若男女集う日です。7人の研究発表がありました。これまた老若男女が奮闘しました。

 老若男女が、垣根をこえて交流する機会は、そう無いですね。というより、そういう機会はあるのだけど、自分が作っている垣根を越えられないので、機会を失っているのです。この垣根を超えることが、東洋医学のだいご味なのです。多種多様な診察をミックスして、多種多彩な治療をコンビネーションするのが、そもそもの東洋医学ではないかと、つくづく思います。

 そういう東洋医学を実践できる人は、垣根がない人か、垣根が低い人か、ジャンプ力がある人か。この観点からすると、日本の鍼は東洋医学的ではなくて、あっさり、簡素、単一を好むところの日本鍼灸だと思います。日本の鍼灸界は、東洋医学性がだいぶ薄れているような気がします。やはり辺境の一流派なのかも知れません。