2016年9月14日水曜日

党ということ

沢庵『老子講義』

「ほぼ道を知れる人一人有って、其れに人がなびきしたがうと、もはや其の一流が立つなり。」

 道を知った優れた人が生まれると、廻りに人が集まって、一つのグループができる。このことは自然のながれである。がしかし、グループをむさぼり執着して、反って道を忘れてしまい、その優れた人は俗化してしまう。

 臨床に長けて、技術が優れていると、一つの流派ができる。さらに、講習会などを開いて、広めたいとおもう。そこで、会費が発生し、お金の問題が浮上する。それに伴い、人間関係が悪化する。
 
 島田先生に、こういうことを強く誡められた。だから、お金の問題が発生しないように、会費はできるだけ安く、一人の流派にならないように、技術の講習会はしない、と。

 「一段又よき人なれば、斯様に党の立たぬようにすべきなり。斯様に一流立って党が出来る時は、其の中に自然に悪しき事が出るものなり。」

 よく道を知った人ならば、あえてグループを作らない。なぜなら、グループを作ると、その中から「悪」が生まれるからだという。

 富山市議の不正は、まさにこの通り。かりにグループを参加したとしても、それに拘束されずに、各自自由意志を持ち、各自冷静な判断をすべきだとおもう。

 勉強会なり、学会なり、ひとつの会派ができたら、「悪」が生まれやすい、ということは肝に銘じておきたい。




2016年9月12日月曜日

藤井秀孟

 藤井の小児鍼。

 院長は、藤井秀二博士で、『鍼法弁惑』の著者である藤井秀孟の七代目の当主である。本書は、1768年の刊行で、小著ながらたいへんに読み応えがある。

 初代は小児鍼はやっていない。員利鍼やら鋒鍼をつかう、強刺激派である。

 森秀太郎編の『鍼灸医学辞典』(医道の日本社刊)に「藤井式小児鍼」という項目があり、藤井式双管鍼というものを使うとある。

 双管は、『鍼法弁惑』にみえるもので、鍼管を2本そろえたものである。2本同時に弾入し、2本同時に刺すことができる。

 つまり、1穴に2本刺すのである。試してみてください。なかなかの代物です。「鍼は1本を刺す」というとらわれから解放される、喜びが生まれます。他にもいろいろな鍼法が埋もれていると思うと、先人に申し訳ないとおもう。

 『医道の日本』昭和35年12月号に起稿し、言う。

 「鍼灸医業は人格者によってのみ資格を与えられるべきものなり。」

 至言ですね。3年で免許を取れたとしても、現場に立たせるためには、2年ないしは3年、4年の研修期間をもうけ、その中で認められた者だけが臨床の現場に立てるようなシステムにしたいところです。



2016年9月11日日曜日

小池都知事

 小池都知事が、築地市場から豊洲市場に移転するのを、延期した。風当たりは強いのに、なぜ敢行したのか、理解できなかった。

 今日の新聞によれば、豊洲市場は土壌汚染対策のために、4・5メートル盛り土することになっていたのに、全体の三分の一は、盛り土していないことが判明した。

 いわゆる偽装なのである。おそらく、小池知事は、この情報をかぎつけていて、豊洲市場に移転してからでは、問題が大きくなることを予想して、延期したのでしょう。

 それはいいとして、4・5メートルの盛り土を偽装したのは、文化国家としては恥ずべき問題である。さんざん、中国は、中国はと批判しておきながら、わが国で、それも首都で、ういう偽装が起きたのは、何とも恥ずかしい。

 高畑くん個人の問題で無駄な時間を使ってないで、こういう問題こそ、問題にすべきではないだろうか。しかし、誰が指示したんでしょうね。

 そういえば、高畑くん問題も、報道内容が事実と大分違っているらしい。以前に村木審議官も冤罪で大分苦労なさっていたので、真相が判明するまでは、第三者は静観すべきではないでしょうか。

 ぼく個人としては、他の人の評価は、自分で確かめるまで、評価しないことにしている。噂によって人生が狂わされたらたまらんでしょう。その加害者には成りたくないし、噂に乗った自分が恥ずかしいし。