2014年12月3日水曜日

潮風

 11月23日は、母の三回忌で松島に帰りました。瑞巌寺の杉木立は、なんとも言えない香りに包まれていました。今までもその香りがあったのでしょうけど、この歳になってその香りを感じることができ、やっと大人の仲間入りしたのかと感無量でした。齢を重ねると、諸事に敏感・過敏になると聞いたことがありますが、マイナス面もあるらしいけど、新たに感動があるという意味ではおおいなるプラスではないでしょうか。

 翌日は、母の実家のあった湾内の離島、野々島に行ってきました。ここでは、潮風が感動的でした。懐かしい潮風ですが、皮膚の栄養になって活性化したような感じがしました。べたべたでからみつくような風ですが、それが懐かしく、うれしく思いました。

 歳とると田舎が恋しくなるとか、なかなか田舎から離れられないのは、こういうことを言うのではないでしょうか。三陸津波で故郷を離れ、原発で避難させられている方々は、ことばで言い表せない、表したとしても理解してもらえないもどかしさがあると思います。

 「鍼灸oosaka」という雑誌に、「補腎について」を寄稿しました。とくに、養生的な補腎を、『内経』を材料に考えてみました。冬、寒さ、腎は五行で関連があります。これを、ほどよい冬の寒さは腎を鍛え、冬なのに寒さから逃げると腎を弱めると考えました。ぼくらが子供のころは、たいした暖房もないのに、風邪を引くことはなく、インフルエンザの流行も無かったように思います。それは、適度に寒かったことによって補腎したのである。貝原益軒も、『和俗童子訓』で、子供の健康には「三分の飢と寒をお(帯)ぶべし」と言っています。

 このように、外界の気候は、適度であれば五蔵を養うし、過剰であれば五蔵を損なう。風も、暑さも、寒さも、身体の栄養になるということを、『内経』では提言していたのであります。

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