2014年12月17日水曜日

草喰(そうじき)なかひがし



 草喰(そうじき)は、お店の料理の方針で、野菜料理を出すお店。なかひがしは、店長の名字(中東)。

 銀閣寺交番の真向かい。小さなお店です。カウンタ12~3人というところでしょうか。二階にも座敷があるらしのですが。カウンター内には、朱のかまど(おくどさん)さんが設置してあってご飯を炊き、連なって炭床があり、魚を焼いてました。

 野菜料理とご飯がメインで、京都だから上品なところかと思いきや、腹一杯に食わせるという荒技をくらいました。

 一つ一つの野菜、お魚は、そうとうなこだわりぶりで、食器も、100年前にできたお椀を使ったり、昭和に作られたグラスを使ったり、ご主人のこだわりが半端じゃありません。でも、珍しい食材、高級な食器を使うお店は、他にもあるだろうと思います。美味しいとか、貴重だとか、こんなところで感動している場合じゃありません。

 僕が感動したのは、自然の材料を自分の足で探していること、捨てるところなく全てを料理につかうこと、最低限の調理で最上級の料理に仕立て上げているところです。にんじんの葉っぱをデザートに使い、ヒゲ根を他の料理に使い、ちいさい内に摘んだミカン(農家が捨てるの)をもらって来て、ドレッシングにしたり。にわとりは平飼いで、昨年の5月から飼っていたものだといい、鯉は地下水で3ヶ月泳がせて泥くささをぬくという。コーヒーは水出しで、20日間ねかせたものだといってました。そのうえ、野や山をかけめぐって料理の材料を探しているようです。

 メインディッシュはご飯で、炊きあがって蒸す前にひとくち出され、むしあがって椀にもって供され、さらにおこげまで出てくる。最後に、たまごが入った料理の残り汁に、もったいないからと、ご飯を投入してみたり、これでもかと食べさせるのである。残るおだしを最後まで飲んでもらおうと小さな器を用意したり、その徹底ぶりにはおそれいります。 「野菜を捨てること無く使いきる」というのは聞いたことはあるが、お料理として出されたのははじめてで、もったいないの精神、というより野菜を差別しないという精神が、というよりすべてを差別しないという仏教精神がすみずみまで配慮されていて、感動的でもありました。

 野菜を食べさせるお店という触れ込みからは想像できない、広さと奥深さのあるお店でした。このお店で、ご主人が仏教を説いたら、即刻即座にその真髄がわかるのではないでしょうか。ご主人は、『味の手帖』に連載をもっているほどの文人。お店では気さくな方ですが、相当に奥深い人のようです。

 次の日は、お墓参りしてきました。(つづく)
 
 

0 件のコメント:

コメントを投稿