2020年5月31日日曜日

仁斎の書(その2)

「居易以俟命」(易きに居りて以て命を俟つ)の「居易」は「安らかな境遇にいて」という意味らしいが、さきほど読んだ伊藤仁斎の『論語古義』のところに、もう少し深めた開説があったので、ご紹介しましょう。

「その安んずるところを察せば」為政篇
「察するとはいっそう詳しくみることである。安んずるとは、こころに楽しむことだ。おもわくは善であったとしても、心に楽しんで善を行っているのでなければ、それは自分の心をおさえてしまっているだけのことだ。時間がたてば、おもわくが変わるにきまっているのだ。」

 孔子の人物評価は3点
 ①為るところ:行為が善であるか
 ②由るところ:思わくの根源が善であるか
 ③安んずるところ:善を楽しんで行っているか

 なんと奥深い。とうてい追いつけない境地だ。
 でも、仁斎は、一歩づつ近づこうではないか、というのです。堀川通りの反対側に、うんと厳しい山崎闇斎がいて、仁斎宅にも指導の怒鳴り声が聞こえたそうです。それに引き替え、仁斎先生は、丁寧でやさしい。
 

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