2016年10月24日月曜日

無味

 
 愛読書『味覚極楽』の赤坂虎屋の黒川光景の段に、

「すべてべっとりといつまでも舌へ甘味が残るのは、菓子の下の下に属すべきもので、舌へ載ってにわかに味が出ず、無あじの如く淡々たる中に、自然にうす味が湧いて出るのが三昧境である。」

とあった。和歌山の醤油ラーメンの味が、そういえば、そんな気がします。出しがしっかり利いているラーメンやが多いなか、???という味の体験は少ない。もう一回、食べてみたい。

 そばつゆでも、かつお節の風味は、不要なのだそうです。

 誰にでもわかりやすい濃厚な味。それを超え、次のステップに至るのが、侘、寂、粋なのかもかもしれません。和菓子というのは、そういう意識をもって、味わうものなのでしょうね。

 T先生が入院されて、銀座の「空也もなか」をお持ちしたとき、「粋なおかし」と評してました。値段は高くないのですが、たいへん喜んでいました。通人は、見る所がなるほど違う。

 生活の中から、侘、寂、粋、が消えている、のに今、気がつきました。日本鍼灸というフラッグを掲げるならば、失ってならないのに・・・・・

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