具体的に養生灸の方法を書いてあるのは、貝原益軒(1630~1714)の『養生訓』です。ここには、毎日一壮、百日続けると書いてあります。病気治療のためには、多壮灸すべきですが、あくまでも軽微を、長く続けるところに特徴がありそうです。
養生灸の初出は、『千金方』だろうと思います。その「灸例」に、阿是穴に施灸しておけば病気予防になる、と書いてあります。
問題は、この阿是穴です。
圧痛点と言われていますが、圧痛点ならば全身に分布しているので、どの圧痛点を選ぶのかが大きな問題になります。素人がやる養生灸に、専門的な選穴理論は、問題外です。
また、選んだ圧痛点が病気予防になるのは、どのような理由なのでしょうか。
というようなことを考えると、阿是穴問題は、なかなか解決しそうにない。しかし、これが解決しないのであれば、養生灸を唱えたところで、砂上の楼閣にすぎない。となえることで、自己満足しているに過ぎない。
私説ですが・・・
① 阿是穴は、ああ(阿)、そこ(是)という穴で、圧痛点とはちがう。
② 素人が、そこと認識するのであれば、普段から気になるところを解消しうるツボ、そこが、ああ、そこ、なのである。
③ 普段から気になる所、たとえば肩こりがあれば、元気がなくなるので、それが解消されれば
元気が戻る。というのが、病気予防の理屈か。
④ 自分で施灸できるという条件をつければ、場所は、四肢か、腹部でしょうか。
結局、普段から気になっている所(不調箇所)が解消し、ああ、そこ、と言わしめるところが、阿是穴なのではないでしょうか。
【本日の提言】
養生灸をしましょう、と提案しても、自力でできなければ、目的は達成できない。
養生の要点は自分で毎日できることをやることだと思います。
返信削除ただ、おっしゃる通り「やりましょう」といってやる人なんて、まあいないです。
その工夫に頭を悩ます毎日です。
養生の効果なんて一日二日で目に見えてわかるものではないので、しっかりとメリットを簡単な言葉で説明できるか。
患者さんが一人で(出来れば何も見ずに)できるように、ちゃんと指導できるか。
簡単にできたほうが良いのか、すこし手間をかける方がやりがいがあるのか。
資料を作っては捨て、作っては捨ての繰り返しです。
大変なことを仕事にしちゃったなあ。
資格試験に合格した後に、うちの近くの某先生に言われた「これで一生退屈することないわよ」という言葉をしみじみと感じ入っているところです。笑