2016年4月1日金曜日

南京と北京

 3月19日から31日まで、学術交流で南京へ、オリエント研修で北京に行ってきました。こんな長旅は、最初で最後でしょう。規則正しい生活をし、節度有る食事をすれば、さほど苦になりません。中国の食べ物はアブラ物が多いので、調子づいていると、あっというまに食傷になります。最初のころは、調子にのって食べていたので、食傷になっていました。今回は、みなさんも馴れてきたためか、食傷者はいませんでした。

 南京は長江のそばで、海も近いので、湿度が高いのだと思います。真夏に行けば、はっきりすると思います。同じ温度だとしても、南京のほうが肌寒い。寒さが染みこんでくるような。北京は表面的な寒さのような感じがしました。東京あたりと南京は、空気的には近いでしょう。風が、重い。風が重いで、思い出したけど、故郷の松島の海風は、塩分を含んで、もっと重い。マラソンで、記録が出やすいコースがあるけど、地形だけでなく、風の力と、風の質が、大きく影響するのだろう。

 南京は長江の河口から約300キロ。中国では、臨海地区だそうです。日本で300キロだとすれば、本州を横断してしまいます。埼玉県は海無し県ですが、中国の人からは「海沿いや」と言われそうです。長野県だって、臨海地区です。日本の中からみる日本と、日本の外からみる日本と、ふたつの日本を見なければならないと痛感したところです。日本の鍼灸を見直すとき、もっとも重要なことです。中国にも行かずに、世界にも出ずに、日本の鍼灸を語っていたことを恥じています。僕は、何度も中国に行っていますが、そういう視点を持っていなかったので、行ったことにはならないでしょう。
 
 今回の中国行は、いくつかの気付きがありました。両面を見よ、ということです。ニュースでは日中は仲が悪そうですが、実際はみなさんとても親日。教科書の中医学は、実際の現場では運用されていないこと。なにしろ、押し寄せる患者との戦いで、四診合算・弁証論治をしている場合ではない。怒っているような人々、その内面は実や優しい。などなどです。

 そういう意味では、まだまだ固定的に見ていたのです。とても反省しています。また、体験しなければわからないのだけど、同時に何らかの視点やベクトルを持っていないと、体験したことにならないことがわかりました。よく「気づき」というけど、ぼやんとしてては得られず、なんらかの視点やベクトルが必要で、それは自分で学ぶか、教わるか。教わるとしたら、教える側はそれを先に示さないと教育効果が出ないと思う。少しばかり、教えるということがわかってきたような。

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