2018年12月3日月曜日

ケララの風Ⅱ

 大森のカレー屋さん、ケララの風Ⅱが、昼定食のミールスを辞めて、代わりに軽食のティファンを提供することになるらしい(来年の1月から)。

 ちらちら聞くところによれば、忙しいのが原因とのこと。仕込みに時間がかかり、お客様も増えて、65歳の体には負担が大きいのだそう。

 引き際が、見事だなと思う。自分の思う通りにカレーが作れなくなる、なりそう、そのぎりぎりのところで、判断したのでしょう。作れないことはない。でも手を抜くのも面白くない。ミールスの開拓者らしい潔さではないでしょうか。

 こういう姿勢を『老子』2章「功成りて居らず」というのだと思う。「居らず」はまるで引退のような印象があるが、「功成り」に執着しないことであり、力を抜いて、謙虚に、そこに居るということ(2章は「是を以て去らず」と締める)。居らないけど、去らない、という2章、カレーを食べててピンときた。

 ゴーンさんでいえば、一定の成果があがったときに謙虚になれば良かったわけで、一定の成果が上がったら退任したほうが良い、というわけではない。

 老子の宇宙論、老子の政治論についていえば、『老子』は縁遠い古典なのだが、老子の謙虚さをいえば、とても身近な古典なのでした。


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