1966年のヒット曲、美輪明宏の「ヨイトマケの唄」
おとちゃんのためならエンヤコラ。
おかちゃんのためならエンヤコラ。
もひとつおまけにエンヤコラ。
1877年のモースの記録にもみえ(『日本その日その日』東洋文庫)、少なくとも江戸時代から続く労働風景なのでしょう。
変な、単調な歌が唄われ、一節の終わりに揃って綱を引き、そこで突然縄をゆるめるので、錘(おもり)がドサンと音をさせて墜ちる。すこしも錘をあげる努力をしないで歌を唄うのは、まことに莫迦らしい時間の浪費のように思われた。時間の十分の九は唄歌に費やされるのであった。
労働者たちが、二重荷車を引っ張ったり木梃(てこ)でこじたりしていたが、ここでも彼らが元気よく歌うことは同様で、群を離れて立つ一人が音頭をとり、一同が口をそろえて合唱すると同時に、一斉的な努力がこのぎこちない代物を六インチばかり動かす、という次第なのである。
実際に労働しているのが「実」だとすれば、その間が「虚」と考えると、味わいが深い。そういえば、鍼でいえば、前揉撚が虚の作業で(日曜日に『霊枢』刺節真邪篇を読んだばかり)、実際に刺すのが実の作業。日本では虚実行うが、中国では実しか行わないのは、『内経』の刺鍼法とはおもむきを異にしている。
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