2017年7月8日土曜日

森共之先生のコメント

 何度か登場する(御薗意斎⇒森道和→森仲和→森愚然→)森共之は、家伝書の『意仲玄奥』をまとめただけでなく、30年もかけた『老子国語解』という研究書もあり、実力学識をそなえた第一級の鍼師だと思います。その72章に。
六十年来、世上を見聞くところ、天命を全ふし、夭横せざる者の、予が先考愚然、予が舅(母方のおぢ)の僧洞雲寺平石。此の外十有余人には過ぎず。此の外は悉く。疾病夭横の死にして、而して一人も天賦の命数を全うする者無し。さればこそ。其の終りに臨みて、七転八倒。堪え難き苦患を見る。未熟の菓蓏を。もぎ取るが如し。彼の天命を全して滅を取る者は、なにの病患もなく、生気の消全するに随ひ、従容坦然として息絶ゆ。成熟せる菓蓏の自然に地に墜が如し。
ご本人は72歳。父の愚然は82歳。 老子の教えをよく実行し、長命を得ている。老子は、(無為自然の)道に委ねることよって天命を全うできる、と教える。老子を学び、その教えを実践し、そして結果をだす。ここに、鍼師森共之の矜持がある。柿が熟して、木から落ちたときに、悟ったのでしょうか。

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