2014年7月24日木曜日

『鷹野鍼灸院の事件簿』

 『鷹野鍼灸院の事件簿』は、東洋鍼灸専門学校のごたごたが題材になっていると漏れ聞いたので、早速、買って読みました。

 宝島社の文庫で、600円。著者は乾緑郎さんと言う人で、東洋鍼灸専門学校卒の鍼灸師でもあります。前半は、鷹野鍼灸院をめぐる話題で、後半が主人公の母校のごたごたが題材になっています。

 こういう小説は、世間受けするのか、と思ったけど、今年5月の第1刷で、7月には増刷しているようなので、結構売れているようです。乾ファンと、鍼灸師が読者なのか。ペーパー鍼灸師が、すっかり忘れてしまって、今更教科書も気が重い人には、思い出すように読むのにはとても良いかと思います。読みやすい文章ですし、専門用語も適宜、ばらまかれてあります。著者は、鍼灸師なのだけど、それだけでなく、よく勉強なさっていて、説明も的確で、読みやすい文章でした。

 学校のごたごた物を題材にし、それを切れ味よく事件に仕立て上げているところでは、構成力といい、文章力といい、優れた人だなあ、という感想でした。一気に読ませる、そういう力量は、あるのではないか。(評論家みたいですけど)

 後半の主人公は、教務から事務に移動した立花先生で、モデルの先生が彷彿として、にやにやしながら読みました。鍼灸に関しての、著者の意見が挟まっていたりして、勉強にもなりました。

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