2022年2月10日木曜日

行った行った・来た来た

  中国の長沙市出身の中国女性が、日本で結婚し、仕事をしていて、近くに住んでいる。その女性が治療にきて、鍼先がひびくことを「いた、いた」といいます。てっきり「痛い、痛い」だと思って刺しなおしていると、「どうして抜く?」というので、「痛い」というからと答えると、「そじゃない」といって、いろいろ話をきくと、鍼先がひびくことを「いた、いた」(行った、行った)と言ったそうです。日本では「来た、来た」と言うというと、次からは「来た、来た」と言ってくれるようになりました。

 彼女は、「鍼」の立場になって、鍼先が到達したことを「行った」といい、

 日本では、自分の立場で、鍼先が自分に向かってやって「来た」、という。

『素問』刺腰痛篇に「足太陽の脈、人をして腰痛せしむ」と、足の太陽の経脈は腰痛を引き起こす、というが、これまた経脈の立場になっている表現である。

『霊枢』五邪篇に「邪、心に在らば、則ち心痛を病ましむ」とあるのも同じで、邪が心痛を引き起こすのである。

 おおむね、自分じゃない立場になって、記述しているのであるが、長沙の彼女と同じである。ということは、

 足の太陽の経脈が変動すれば腰痛を引き起こす。邪が心にあれば心痛を病む。

という読み方は、微妙にずれているかもしれない。



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