2019年4月18日木曜日

N360

 林望の『ついこの間あった昔』(弘文堂)は、すきな本のひとつ。昭和を記録した写真と、それについてのコメントからなっている。

 林氏は、1949年生まれで、7歳としうえ。大学に入ったとき、ホンダのN360という車を買ってもらって、慶応大学までクルマ通学だったそう。結構なお金持ちだったのでしょう。こういう人が書く文章は、なんとなく余裕があるように感じます。

 農大の同級生にも、いすゞの117クーペを持っている奴がいたし、ホンダのシビックを乗っている奴がいたけど、どちらも東京の人。117クーペくんは、初台(渋谷区)に家があり、今思えば、相当な金持ちだったのだろう。シビックくんは、お花茶屋(葛飾区)というところに家があるとのこと。クルマを持つことはうらやましかったけど、身分不相応で、強く望んではいませんでした。むしろ、4畳半に住んでいたから、6畳が望みでした。

 その中の写真。老婆が上半身裸でお茶をいれています。僕の祖母も同じようなことをしていたので(つまり50数年前)、おどろきはしないのですが、今では考えられない風景です。おそらく60歳くらいの方でしょう。電車の中での授乳をみたことがありますから、必要があって乳房を出すことは、当たり前だったのかもしれません。

 この半世紀で、日本国、おおきく様変わりしています。様変わりの前後をみている者としては、こういう本は、とても懐かしいのです。



 

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