『鍼灸OSAKA』121号は、「触診力をつける」を特集し、中身が濃い。30年前は、こういう親切丁寧な本がなかったし、誰も教えてくれないので、力がある人は自立できたが、そうでない人は自滅していました。この特集をよくよみ、練習をつめば、相当よい治療家になれるのではないだろうか。
こういう特集を組んでくれる発行者はとても貴重である。定期購読をして支援してあげましょう。自分の好みの特集だけを購入するのも良いが、活動を支援するという意味で定期購読してあげましょう。
この中で、94ページの「津島さんのバリア」が、いちばん印象的でした。太宰治の娘である津島佑子さんにまつわるエピソードである。津島さんの周りの人の思いこみが、津島さんのバリアを形成するという話。「病者は、色眼鏡でみないで、素直に直観すべき」と啓発されました。
三旗塾の金子朝彦先生が登場する「フィリピン・スービック地区での鍼灸治療3日間」という対談も興味深かった。金子先生は問診を主とするが、言葉が通じないので、六部脈診を使った診察治療をしてきたと言う。経絡治療的に、「六部の凸凹を平らにする」という治療法。ぼくと同じようなことを考えている。
言葉が通じないという状況で、対応できる汎用性があり、理論理屈をとり除いたという意味では、無心であり、臨機応変に対応できるという意味では、たくましい。金子先生、すごいな。
触診では、谷岡賢徳先生の、既成の理屈を容れず、ただ皮膚を観察し、そこから見えてきた事実だけを積み上げてきているのは、すばらしい。この優れた人の言葉を読めるのは、幸せである。「触診の神さま」でしょうね。
121号はおすすめです。ついでに定期購読しましょう。鍼灸を純粋に考えてくれる編集者を応援しましょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿