『外台秘要方』の巻22に、はなみずの治療で、「以摩囟上、佳」「並摩頂」というのが、拾えました。囟とは大泉門のことで、ツボでいえば顖会。頂は頭頂部のことで、ツボでいえば前頂、百会あたり。この辺りを撫でるとはなみずを治すことできるという。撫でるといっても、マッサージすることでしょう。
そのばあい、頭皮が固いことが条件になるかもしれない。鍼ならば、横刺が良いでしょう。固くない場合は、この撫でる方法は不適応。
その固さを確認するには、両拇指で、左右から挟み、絞るようにするとよくわかります。頭皮を上から押しのでは、ただ固いだけで、病的な固さとの違いがわかりません。こういうのはコツがあって、文字で説明しきれません。
『鍼道秘訣集』の跋文に、「世俗の諺に、秘事は睫の如しとて、仮令(かりそめ)の事にも秘伝、習い有ることなり。此の習い、知ると知らざると天地の違いあり」とあるように、ちょっとしたコツを知っているかいないかで、結果に大きな違いがあると言うのは、至言ではないでしょうか。秘事とは奥義秘伝、睫のごとしとは目の前に有りながらみえないこと。手品も、目の前でトリックがあるのだが、睫のごとし。
ちょっとしたコツというのは、ちょっとしたモノなので、見逃しやすい。しかし、ちょっとしたコツに気がつかないと、何年経っても向上しないのかも知れません。日頃の問題意識があれば、どこがコツなのか気がつきやすいかも知れません。
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