2016年5月2日月曜日

ふたたびの出石町

 4月29日は、大阪で講演があったので、その足で、再び、沢庵宗の出生地の兵庫県出石町を尋ねてきました。

 その足でといっても、大阪から電車で、約3時間。帰りは、京都を経由して、家に帰るまで7~8時間。遠いといえば遠いのだが、徒歩で歩いた時代を考えれば、相当に近い。

 そこから沢庵は京都に行き、時には江戸に行き、山形県に流されたこともあり、いずれも徒歩なのだから、なかなかの脚力である。大阪の堺にもしばしば通っている。行雲流水とはいうけれど、本当に、あちこち歩き回っている。

 出石町は、現在は豊岡市になっているが、合併前は、人口1万人の小さな町である。基本的には、ビルというのが無い。無いわけではないが、市街地から外れてホテルがあり、高校がある。しかし、街中は、黒い瓦の木造二階建てばかりで、簡素で雑然さがない。あとは、田んぼと山である。静かで、落ち着いた街。こういう街も、今や珍しいのではないか。

 今回は、有子山城跡に上ってきました。標高321メートル。徒歩で1時間40分(案内板にそう書いてあった)。半分はわりと急な上り坂。半分は遊歩道。半分の上り坂で、志が折れそうになって、何度、中止しようかと迷いましたが、天候も良いことだし、この次があるとも限らないし、がんばって登り切りました。そのご褒美なのか、とっても良い眺めでした。眼下に、出石の街並みが見え、遠くにはきれいな山並みが見え、夢ごこちでした。あとから、月1回はのぼるという中年が上ってきて、しばらく雑談しました。

 沢庵寺といわれる宗鏡寺も、また行きました。切符売りのおばさんが覚えていてくれて、やはり雑談してきました。この寺には、沢庵が、48歳の時に、1年ほど静かにしていた「投淵軒」があります。小さな庵です。淵(水の底)ようなところで、静かにして居たい、という意味が込められています。武将に人気があったので、あちこちから声がかかり(いかざるを得ない)。心がせわしい時は、淵に身を投じて、静かにしていたかったのだろうと思います。

 また行くかも知れません。

 

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