鶯谷書院の主な活動は、古典のテキストデータ作成です。古典研究に大いに役立つツールだと思います。
『千金方』、『千金翼方』は、人民衛生出版社から影印本がでていますが、個人的には、印刷した本の時は全く興味を覚えなかったのですが、PCの画面にテキストが表示できるようになり、いろいろ検索できるようになって、『千金方』、『千金翼方』を利用する機会が増えてきました。
ただし、いままで利用していたデータは、誤りが多かったので、このたび校正を加えて、より忠実なテキストデータを作りましたので、みなさんにお分けしたいと考えました。
ご希望のかたは、鶯谷書院のHPの「CDの申し込み」にお入りください。代金はデータの代金というよりは、鶯谷書院の活動へのカンパと思ってください。こんご、整備されたデータをリリースする予定ですので、ときどき「CDの申し込み」を覗いてください。
『千金方』、『千金翼方』は、唐の孫思ばくの編集した総合医学書です。鍼灸のみならず、漢方薬、養生も含んでいます。巻一の「大医習業」「大医精誠」は、医者になるための訓辞で、教育的なものも含まれています。
この中で大事なのは、養生に関する論篇です。これは『内経』にも、『難経』にも、『傷寒論』にも入っていない内容で、まとまった形では『千金方』、『翼方』がはじめての医学書だと思います。全30巻のうち、第28巻が養生巻です。
現在、学校でも、研究会でも、東洋医学的養生は教えていないと思います。養生は、東洋医学が発信したものですから、わたしたちは養生学を広めなければならない立場にあります。それなのに、誰も関わっていないというのは、とても寂しいかぎりです。
古典の役割は、現在の東洋医学を、正しく見直すところにあると思います。誤解されて伝えられていないか、積み残しはないか、もっと優れた医論があるのではないか。その批判を始めて取り組んだのが、江戸時代の古方派の医者です。別の枠組みを作ったのではなく、積み残しされた優れた医論を活用しただけのことです。
古典を読めば読むほど、優れた医論が誇りをかぶり、放置されているなあ、と痛感します。今ある東洋医学は、かつての東洋医学の一部分なのです。実は、わたしたちは一部を全部と勘違いしているのです。北京に行って、中国を見てきたつもりになっているのと、まったく同じです。そろそろ東洋医学を見直すべきではないでしょうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿