大谷哲夫著『道元』の216頁に、次のようにある。
道元は、大仏寺を永平寺と改める上堂において、つぎのように宣言します。
天に道有りもって高く清し、
地に道有りもって厚く寧らかに、
人に道有りもって安穏なり。
この宣言は、『老子』三十九章の「昔の一を得るものは、天は一を得て以て清なり、地は一を得て以て寧なり」と類似する。
そもそも、仏教+道家思想=禅宗であるから、『老子』と重なるところがあってもおかしくないのだが、『老子』を参考にして宣言したのか、宗教的帰結として偶然『老子』と似たのか。
「言うは易し、行うは難し」というように、頭でわかったこと(『老子』の思想)が、できるようになるために、禅宗の修行が用意されたのだ、と『道元』を読んでなんとなく理解した。
『老子』の真意は「いかに行動するか・いかに生きるか」である。修行という行動を続けてきた禅僧が、『老子』の証なのである。『老子』を哲学する、という本もあるが、こういう面で、ものたりない。
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