2018年4月24日火曜日

和田東郭『蕉窓雑話』

 和田東郭、『蕉窓雑話』を知らなければ、漢方界ではもぐりと言われるほど、著明な名著なのですが、鍼灸界では、知る人稀なる名著なのです。

 東京衛生学園臨床専攻科第10期の生徒達と勉強会を始めることになり、題材を『蕉窓雑話』にしました。勉強会は自然に消滅しましたが、とても勉強になりました。個人的にでも、全体の半分も読み終わっていないでしょう。いつか、きちんと読みたい名著です。

「常々、手心(たなごころ)に熱ある医は、得て人の体に熱もなきを、熱ある如く思ふことあるもの也。かやうなる人は、つねに心得て手背にて熱のもようを候べし」

 ぼくも手背で皮膚の熱と冷えを診るうかがう習慣になっていますが、200年も前に開発されていまようです。早い段階で、この本を読んでおくべきでした。

「身柱の穴に灸すれば・・・心下をひらく也」
 心下痞硬の治療には身柱は欠かせないということです。(ただし身柱固定ではなく、身柱以下筋縮当たりまでが対応しますが。反応次第)。身柱は、小児治療には欠かせませんが、小児の病気のおおむねは胸が痞えていると予想できます。心下痞硬は、叩打診で簡単にみつかります。

 ちょっと拾っただけで、とても勉強になるのが、『蕉窓雑話』なのです。和田先生が、合理主義者なので、説明がとても分かりやすいのです。たっぷり時間をとって読みたい名著なのです。



2018年4月16日月曜日

森共之『老子国語解』三校終了

 森共之(森立之の祖父)の講義録『老子国語解』。データ入力は、一昨年末で終了し、昨年まるまる、そして今年と校正作業を継続中。今日で3回目終了。A4版で170ページもある力作で、内容が濃いので、校正しながら読み、読みながら校正しと、足ふみふみしながら、本日終わりました。

 校正作業は、ムダな作業のようなので、好きなのです。ムダな作業が嫌いな人もいますから、おすすめしません。タケシは、「ばかじゃないのか」と言われるのが、いちばん嬉しいそうです。お笑い芸人は、笑われてナンボですからね。

 『老子経国字解』は、『老子』研究30年の成果だそうです。僕みたいにダラダラ研究ではなくて、根を詰めての研究ですから、深耕ぶりには、頭が下がります。共之は、代々の鍼師で、鍼治療には無心が欠かせないとのことで、『老子』を研究したのです。気合い入ってます。

 無心については、『医道の日本』で、先月号から始まった『素問』上古天真論の解説で取り上げていますから、興味がある人は読んでください。森共之先生に怒られそうな内容ですが・・・

 

2018年4月2日月曜日

日曜講座

 日本内経医学会の第2日曜日開催の日曜講座は、原宿(区民会館)→新大久保(東洋鍼灸専門学校)→大森(鷲会館)→早稲田(日本医学柔整専門学校)と遍歴し、今年度から港区白金の北里大学薬学部に移ります(4月8日)。

 北里大学附属北里研究所は、小曽戸先生がひきいる医史学の本丸があります。日本内経医学会が設立して30年、そこで日曜講座ができるのですから、まことに慶賀事なのです。といって、慶賀と浮かれている場合ではなく、これを機に、『内経』を一層深化し、鍼灸医学をさらに進化させようではありませんか。