2023年7月24日月曜日

建前

  漫画を読んでいたら、宮崎県では、上棟式を「せんぐまき」「もちまき」「むねあげ」「たてかた」というらしい。古里の宮城県では「建前(たてまえ)」と言っていました。漫画と同じように、餅や硬貨を撒き、集まったご近所さんがワイワイしながら拾います。全国どこでもやっていたんですね。 

 今から50年前ですが、実家のときも同じようにしました。家を建てる前に「地鎮祭」、骨組みができあがったら「建前」、家が完成すれば、ご近所さんを招いて「新宅ふるまい」をしました。

 屋根の上から、餅をまき、小銭をまいて、地域のみんなとお祝いする、ほのぼのとした風習でした。



 

 


 

2023年7月14日金曜日

百姓を以て、芻狗と為す

 『老子』第五章に「百姓を以て、芻狗と為す」とあり、理想的な人物は社会の人びとを「藁犬」と見なしたという意味だが、藁犬のようにぞんざいに扱ったのではなく、好き嫌いもなく、余計な感情を入れ込まないことを言っています。

 飼い犬なら、カワイイ、愛しい、いろいろ感情を込めてしまい、亡くなれば、ロス(悲壮感)にさいなまれる。その点、藁犬ならば、感情はこめず、ロスも無い。

 レイチェルさんという人が亡くなった。『老子』のこの文章を知っていたら、助かったのではないかと思う。社会と一定の距離をとる、世間に近づかない、こういうことも「藁犬的」ではないでしょうか。

 


4つの診療科

  日本の鍼灸は、総合診療科的だと、思います。整形外科のみならず、内科も、婦人科も、小児科も、心療内科も。大抵の先生方は、何となく対処しているでしょうが、それは大事なことですが、反面おそろしいことでもあります。それぞれの技術・知識をきちんと獲得し、きちんと対応すべきだと思います。

 内科的といえば、五蔵を中心とした治療。外科的では、九鍼を用いた治療。整形外科的では、鍼灸、マッサージを組み合わせた治療。心療内科的には、いやしの治療。というように。

 五蔵を中心とした治療は、脈診、腹診、舌診ができなければなりません。きちんと学問をし、きちんと練習する人に向いています。

 九鍼の治療は、病邪がどこに、どの深さで、どのような質を持っているか、洞察できなければなりません。敵の弱点を探ることに近いので、スポーツ経験者に向いています。

 整形外科的な治療は、触診に長じていなければなりませんが、脈診も、腹診も、洞察も、あえては要らないので、どちらかといえば簡便で、日本ではよく行われています。

 心療内科の治療は、精神的要素が絡みますので、心の事をよく学んだ人しか対応はできません。適当に学んだような治療者は、ちょっと恐い。

 このように、鍼灸治療は、なんでも対応できそうですが、実際は、向き・不向きがあるのです。

2023年7月8日土曜日

大器晩成

「大器晩成」は、『老子』六十一章のことば。沢庵宗彭の『老子講話』から。

 「大器晩成、小さき器は早く成就すれども大器は一寸は出来ぬなり。人も之れに同じ。大器量者は弱輩より小利好にはなき者なり。又大功の成就するもそれなり自然と遅く成就したるはよし。早きは兎角にしまり悪き者なり。」

 小さな器は、簡単にできるが、大きな器は、なかなかできない。

 人間も同じで、小さな人物が小成功をおさめるのは早く、大きな人物が大成功をおさめるのは遅い。

「小利好」ものは、小さな人物にはなれるが、大きな人物にはなれない。という但し書きが効いている。「小利好」は「小利口」とも書き、小賢しく、自分に都合が良い(利)を考えること。

 道遠しというより、道を外れていることに気が付くこのごろでした。



くびのしわ

 『温灸読本』では、腹部のシワを写真で紹介したが、じつは首のシワも気に成っているところ。

 下を向けば、首の前にシワがより、あごが上がれば、首の後ろにシワがよる。そのシワの深さで、首の異常の深刻さがわかります。

 問題は、首の側面にシワがあるときで、片方ならば首が傾いているのですが、両方ある場合は・・・個人的な感想ですが、怒りで肩が持ち上がっているか、恐怖で首がすくんでいるかの、どちらかのようです。心身症を予想する、ひとつの手掛かりにしています。

 若い人に、スマホのせいか、首の前にシワがあるひとが多いようです。側面にもある人も、ときおり見かけます。

 若い時はシワは善でも悪でもないので、シワがあっても気にならないようですが、いずれ気になるのですから、気を付けたほうがいいと思います。中年以降はシワが悪になるようで、シワを気にするようになります。

 中国古代には、天文、気象、地理が大いに発展していました。その基本は、徹底的な観察です。中国医学の基本も、観察なのです。