2018年9月29日土曜日

中野健康医療専門学校

 この学校は新設校なので、知らない方も多いとおもいます。この学校で、数年前から特別講師をしています。年に2回の講義だけなのです。東洋鍼灸の同級生の小松秀人君が校長になって、生徒数も増えて順調だと思ったのですが、新しい指導要領で、授業日数も増えるし、臨床実習の形態も変わるので、それには対応できないということで閉校することになったそうです。現2年生が最後の生徒です。

この講義が水曜日で終わり、ほっとしています。自分勝手に講義すればいいのですが、相手に合わせてしまうので、とても疲れるのです。その方式が、年令を加えるごとに負担になってきたのだと思います。そもそも、人前で話すのは、好きではないし、向いていないのです。そう思いながら講義しているから、いっそうダメなのでしょう。

 教えることで勉強をしますから、自分のためにはなるのですが、そろそろ潮時かとも思っています。

2018年9月24日月曜日

『目の見えない人は世界をどう見ているのか』

 光文社新書のこの本を借りて読んでいます。
 テニスのレギュラー、イレギュラーと同じように、立ち位置が変わりそうです。
 
 ①レギュラーだけ対応していた
  ⇒稚拙だった
 ②レギュラーに対応していたが、時にイレギュラーに対応することになった
  ⇒イレギュラーに慌てる
 ③イレギュラーに対応することを主にして、レギュラーはその延長線上
  ⇒すべてのボールをイレギュラーと思って構えるのです
  ⇒イレギュラーに慌てなくなる
  ⇒タフになる

 身体がついていくのと、頭の理解がついていくのと、両行なのです。自由自在に適応できるようになれば、身頭一体というのでしょう。

 ところで、目の見えない人は、見えないだけに、
  死角が無い
  表と裏が無い
  内と外が無い
 のだそうです。これって、老子の言うこととまるっきり同じです。「わたし達が得る情報の八割から九割が視覚に由来する」といわれるそうですが、老子の無心とは、もしかしたら視覚情報に惑わされるな、ということなのか?

 とても刺激になる本です(まだ読み終わっていない)。

2018年9月17日月曜日

温室の鍼と野生の鍼

 何度か書いていますが、島田先生が亡くなる前からテニスを始めて、おおよそ20年になります。

 最初は、ハードコート。途中から、人工芝コート。今年から、オムニ(土)コート。
 
 ハードは球足がやや速め。人工芝とオムにはやは遅め。

 速ければラケットを強くふらなくても当てれば返るのですが、遅いのはラケットを強く振らないと返らない。オムニのお蔭で、肉体的にタフになりました。

 ハードと人工芝はイレギュラーが無く、オムニはイレギュラー多し。

 イレギュラーがなければ、単一思考で済むので、頭は楽。イレギュラーがあると、レギュラーとイレギュラーを意識しなければならないので、頭はやや混乱。

 最初はイレギュラーに戸惑いましたが、今はイレギュラーがあるのが当たり前になり、冷静になりました。オムニのお蔭で、精神的にもタフになりました。

 温室で育ったのと、野生で育つのの違いかな。鍼灸にも、温室系と、野生系があるかも知れません。そう思うとおもしろみは尽きないのであります。ただの食い扶持にしているのは勿体ない。

2018年9月14日金曜日

稽古場横綱と場所相撲

 稽古場で強いが、本割の土俵で弱いのが、稽古場横綱。
 稽古場ではぱっとしないが、本割の土俵で強いのが、場所相撲。

 稽古場横綱の代表格が豪栄道、場所相撲の代表格が御嶽海。
 両者の対戦が6日目にあるが、この意味で、とても楽しみ。

2018年9月12日水曜日

上古天真論

 『医道の日本』に、上古天真論の解説を書いて、次号で全9回の連載が終わります。素人学問ですが、現時点の解釈をアピールしておきました。他の注釈書と比べても、新しい切り口でトライしてみました。

 経脈篇では、足太陽膀胱経を除いて、11本の経脈が横隔膜を貫いているのですが、かねてより、食道裂孔を手足太陰陽明、大動脈裂孔を手足少陰太陽、静脈孔を手足厥陰少陽が通過していると考えていたのですが、このたび出版された『閃く経絡』(医道の日本)に解説してありました。 はやく発表しておけば良かったと思いました。

 そういう意味で、9回の連載は、成果ありと思っています。『内経』を題材にして、治療家の心構えシリーズはまだ続きますので、定期購読をねがいたいところです。
 

2018年9月10日月曜日

全米テニス

 全米テニスで、大坂さんが優勝しましたけど、ぼくは、対戦相手のセリーナの激高が、印象的でした。コーチにアドバイスを受けた、だからペナルティーだと審判。受けていないいとセリーナ。審判との言い合いになり、興奮してラケットをたたきつけて、さらには侮蔑的発言をしたらしい。

 この一連のことがマイナスになり、墓穴となり、敗戦したのだとおもう。もしプラスになれば、結果はどうなったか。あんなに易々と負けなかったと思う。

 プロボクシングの誰かがいってましたけど、「強い者が勝つのがアマで、勝った者が強いのがプロ」と。プロの世界は、勝機は紙一重のところに存在するものらしい。

 弁証論治どおりに治るなら誰も苦労しないが、そうもいかないから紙一重のところに勝機をみつけるしかない。そのところを、九針十二原篇は「粗は関を守り、上は機を守る」というのでしょう。粗工は、弓を引くことだけに留意するが、上工は、勝機を得ることに注意する。

 関は弓を引くことで、弓を引いて相手を倒そうとすることだけしか考えていない。これがアマ。上工は、相手を倒すも倒さぬも、戦いに勝つことだけしか考えていない。これがプロなのだと思う。

 サッカーでいえば、ゴールを奪おうと攻撃しか考えないのが、粗工で。攻守両面に気を配り、勝つことに徹しているのが、上工。

 たとえば、腰痛。粗工は、直そうとやっきになるが、上工は、腰痛の原因を考え、治療するかしないかを決め、治療するならどういう作戦が必要なのか考える。治療してはいけない腰痛を治療しないことも、治療して直すことも、さらには養生指導することも、勝機をえることなのである。

 九針十二原篇は、手練れの作品、としか言いようがない。

2018年9月4日火曜日

『四季の味』

 本棚から、ふと、『四季の味』が出て来ました。元は、鎌倉書房から発刊されていたのですが、鎌倉書房が傾いて、ニューサイエンス社が発行を継続した料理雑誌です。20年ほど前は、定期購読していたのですが、いつのまにか読むのをやめて、すべて廃棄したのですが、ただ1冊だけ残してありました。それが、出て来たのです。

 小学校の同級生の色川秀行くんのお店が取り上げられていたからです。色川君は、その前年、『四季の味』で一年間巻頭カラーを担当していました。日本料理界では有名らしい。

 手元の1冊の巻頭カラーは、『美味しんぼ』にも取り上げられた西健一郎さんなのです。色川くんすごい。宮城県塩竃市に「千まつ島」というお店です。開店したばかりと、昨年父の33回忌で利用しました。

「本号でお取り次ぎする食器」という通販がすきで、ときどき購入しました。ベトナムのイム・サエムさんが好きで、食器を少しばかり買ったはずすが、今確認してみたら1枚もありませんでした。割ってしまったのでしょう。

 一時期は、食器集めをしましたが、今はぱったりしていません。包丁といい、食器といい、好きだったのですが、たましいがこもっていなかったのでしょう。飽きていないところをみると、古典にはたましいを込めているのかもしれません。


金沢 つる幸

 金沢の名料亭「つる幸」が11月で閉店すると、新聞記事。昨年の伝統鍼灸学会のとき、その脇を通り抜けたことがあり、「ここは金沢のセレブが利用するらしい」と話題になったのが記憶に新しい。富山石川のミシュラン二つ星を獲得したほどの名店だが、大おかみの体調不良、従業員の人手不足が原因とのこと。

 ミシュランをとることは名誉だが、味は落とせないし、従業員も確保しなければならないし、経営者には負担が大きくなるようです。従業員を増やさず、お客さんが増えれば、従業員の仕事が増え、不満もふえ、辞める。従業員を増やしても、お客さんが減れば経営が苦しくなる。経営者はたいへん。52歳の店主は、カウンター数席、一人で切り盛りできるお店を新規に開くとか。

 漏れ聞くところによると、ある治療院で従業員が一斉に辞めたとか、ほかの治療院ではぜんぜん人員が補充されないとか。この業界でも同じようなことがあるようです。経営者としては右肩上がりは望ましいが、経営が不安定では、治療家のこころも不安定になるでしょう。治療家の心がすさんでしまっては、元もこうもない。つまだつ者は立たず。とはよく言ったものです。