2014年1月16日木曜日

自鍼

 自分で鍼治療することを、自鍼というようです。これは、江戸時代の矢野白成の『鍼治枢要』に書いてあります。治療全般でいえば、自療といいます。

 自療あんまという言葉もあります(白隠禅師は「ひとりあんま」と言っていました)が、治療家にしてもらうあんまは、他療あんまといいます。

 
 矢野先生は、患者さんに鍼を持たせて、自鍼させることがしばしばあったようです。お灸では、よくある光景ですが。おそらく、現在のように便利でなければ、自分で治療するのが、標準であるのかも知れません。

 患者さんが自鍼するには、治療方法はシンプルでわかりやすくなければなりません。ここが、ポイントです。補法、瀉法だとか手技をうるさく言わない、ツボの位置をうるさく言わない、理屈をこねない、矢野先生の医学は、そういうものだと推測できます。それでも、十分に効果を発揮できているわけですから、3年も学校に行っても、効果が出せないのは、おかしい、あやしい、のではないでしょうか。

 今は、学校で教えている内容が常識になっていますが、もう一回、基礎から洗い直す必要があるのではないでしょうか。第四日曜日、鶯谷書院で、矢野先生の本を読んでいますが、何かヒントがあるかも知れない。

 難しいことが高尚、複雑な技を持つことが上工、そういう泥沼から抜け出て、簡単で、わかりやすい、そういう鍼灸医学を打ち立てたいものです。