2024年7月1日月曜日

骨を折る

 山脇東門の『東門随筆』に「骨を折る」という表現が3カ所ある。「力を尽くす」「苦労する」というような意味である。

 たとえば、「畢竟、後世家と称する医は、骨を折りて穿鑿せざるゆえ、其の技、精細ならず」「本邦、近世にも、名医と称せされたる人余多あり。皆宋後の療治を取りたるものなれど、一体皆骨を折りたるものゆえ、格別の事どもあり」という。

  和田東郭の『腹診録』には「工夫」ということばが5カ所でてくる。よい方法や手段を見つけようとして考えをめぐらせることで、「骨を折る」に近い意味がある。山脇東門・和田東郭という最高レベルの医者は、世襲であったにせよ、日夜研鑽を積んでいたと思われる。

 医療であるからには、厳密に、かつ精細に治療しなければならない。安直に習って、安易に治療するような者・風潮は、批判されてもしかたない。




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