2024年5月19日日曜日

『チベット旅行記』

 黄檗僧の河口慧海(1866~1945)著。東洋鍼灸専門学校在学当時の、島田隆司先生の推薦図書。今から40年以上も前のこと。いつかは読む、というつもりか、40年以上も架蔵されたままでした。この度、ようやく読み始めました。残り5分の1。チベット脱出というクライマックスを迎えました。

 手元の本は白水社発行。講談社学術文庫のものもある。さらに青空文庫からデータ公開もあり、それでも読むことができる。

 明治30年(1897)に神戸を出発し(32歳)、チベットに入るまで3年かかったという。当時のチベットは、他国人の入国を禁じていたので、要するに密入国であり、正式の道をたどらなかったために、ハラハラ、ドキドキとなった旅行記です。雪解け水の川を渡ったり、岩の間に寝たり、雪の中に寝たり。旅行記というより、冒険小説のよう。なので、小さい字で、二段組で、はなはだ読みにくいが、ぐいぐい読み進むことができる。

 どんな困難な場面に在ろうとも戒律を破らない、徹底した仏教者である。比較するわけではないが、千日回峰行の厳しさにも通じている。

 今、こうして読んでいると、40数年は本書をよむ準備期間だったかと思う。ありがたし。

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