2017年1月14日土曜日

聖人八木下

 竹山晋一郎(一九〇〇~一九六九)の「八木下翁を訪う」(『東邦医学』九巻五号、昭和十七年)は、さすがに文章家、中々の名文である。

 八木下先生が亡くなったのは、昭和二十一年八月十二日。九十歳。天寿を全うした鍼灸師という意味では、上古天真論篇でいうところの、まさに聖人である。『素問』の理想人が、ついこの間まで、日本にいたのである。すぐ近くにいたのである。

 聖人への道が日本鍼灸の歩む道だとすれば、そのモデルは八木下先生である。それを明らかに示したという意味では、竹山先生のこの文章は、宝物である。






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